『水曜日のダウンタウン』が悪意に満ち溢れている理由

塾長ブログ

こんにちは。大阪お笑い塾の代表の高田豪です。

 

かつてのテレビには「時代にカウンターを喰らわせる、挑戦的な番組を作ろう」という一面がありました。特に昭和は、猥雑で過激なものも少なくなかったのです。

それゆえ親が子どもに「あんな番組、見ちゃいけません」と言いたくなる内容で、あふれ返っていた時代も。興味深いことに親が見せたくない番組ほど、子どもにとって魅力的な番組でした。

 

さて令和になって「安全で良識ある番組作りを」といった圧力がどんどん高まる中、「コンプライアンスなど、どこ吹く風」とばかりに、尖った企画を連発し人気を獲得している番組があります。

その番組は『水曜日のダウンタウン』。内容が過激すぎて、よく炎上していますが、笑いと恐怖が表裏一体となった内容は今の時代に異彩を放ちますね。

番組プロデューサーの藤井健太郎さんは、「悪意とこだわりの演出術」という本を上梓されているだけあり、徹底して悪意にこだわります。

「笑いとはふんわりしていて、人を幸せにするもの」と信じ込んでいる人からすると、悪意のある表現は攻撃的に映り、目を背けたくなるかもしれません。

しかし、基本的に笑いの根っこはネガティブです。距離感のある誰かの困りを見てぷぷぷと思わず笑ってしまう性質が、我々には備わっています。

ネガティブがポジティブ側に昇華されると、笑いがもたらされます。そして我々は笑った瞬間だけ悩みや苦しみを忘れるのですね(あくまで、ほんの一瞬かもしれないですが)。

『水曜日のダウンタウン』に目くじらを立てる方も少なくないと思いますが、あれは笑いのストレートな姿、形でしょう。

ちなみに「ちいかわ」のように外側だけふんわりしていて、中身は漆黒という笑いも数多く存在します。

 

笑いと風刺が密接であることからもわかるとおり、世の中の欺瞞や「言ってはいけないこと」を暴くのが、笑いの本質なのかもしれません。

 

立川談志氏や上岡龍太郎氏に、影響を与えたスタンダップ・コメディアンのレニー・ブルースは「俺のユーモアはすべて、破壊と絶望に基づいてる」という言葉を残しました。

笑いとは攻撃性の置き換えと解釈できますので、レニー・ブルースが口にした言葉は本質を突いています。

レニーブルースのこの言葉は、イギリスのコメディ集団『モンティ・パイソン』の笑いに通じるところがありますね。

高田豪(大阪お笑い塾・代表)

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