2023年6月10日の授業レポート「アンマッチ」「大阪締め」「ネタ発表」

授業レポート&ライブレポート

6月10日の授業は、まかなんで行われました。

入梅が発表されましたので、天候が心配だったものの、なんとか持ちこたえてくれました。

お笑い塾の授業は、まかなんとイマイビルの双方で開催中。

まかなんでの授業は、座学を中心としたものになります。

大阪お笑い塾のでは、天丼などお笑いの基礎となる技術について解説しています。

技術を会得し使いこなせるようになると、取れる笑いの量が如実に変化!

今回は天丼と双璧ともいえる技術であるアンマッチを掘り下げました。

 

笑いはアンマッチで起こる

アンマッチは天丼と同じで、お笑いのネタを考える上で、基礎となるロジックです。

マッチは、一致、調和、ひったり合ったなどの意味がります。打消しの「un」がマッチの手前につくことで、アンマッチに。

「調和していない」「不一致」という意味になります。

調和していない矛盾を含む一文というのは、引っかかりがあり笑いに繋がることも。

例えば「健康のために、日々たくさんの栄養を摂取しています」という文章は「健康」「栄養」がマッチしているので、違和感のない一文。

では「健康のためなら死んでもいい!」というのは、どうでしょう?

「健康を突き詰めすぎて命を落とす」という、本末転倒を含む一文になっているため、こちらの方が面白みがありますね。

つまりアンマッチとは「〇〇だけど××」という矛盾を含んでいるのです。

前にSNSの面白画像で「座りながらの立ち読みはご遠慮ください」という貼り紙を見つけました。

「座った状態って座り読みじゃないの!?」と、ツッコミを入れたくなる一文ですね。

このようにアンマッチは、引っかかりを作るロジックとして有効なのです。

というわけで、今回はアンマッチの一文を作ろうというワークに挑戦いただきました!

みなさん、頭を捻って頭に浮かんだことを紙に書き出していきます。

それでは印象に残った発表を取り上げさせていただきましょう。

ミナさんは、長袖という文字がプリントアウトされた半袖Tシャツというアンマッチを発表!

見事です。

ほとんどの方が文章での発表でしたが、ミナさんは少し角度を変えて絵を入れるという工夫をしてくれました。

一人ずつ順番に発表していく形式の場合、「自分がやりたいことをやる」に加えて、「全体で見れば自分はどの順番なのか?」といった俯瞰的視点も重要。

味変ではないですが、発表方法に変化を持たすだけで、他と差別化することが可能に。

今回のミナさんのように「そう来たか!」と、意外性を演出できます。

「大阪締め」を知っていますか?

「大阪締め」という言葉をお聞きになったことは、ありますでしょうか?

大阪で脈々と伝わる締め方で、宴会の締めで使わることも少なくありません。

落語家さんもよく、大阪締めをされています。

・「打ちま〜しょ」という声のあとに、パンパンと2拍手

・続いて「もうひとつせー」の声のあとに、再度パンパンと2拍手

・「祝うて三度」の声のあとに、パパンパンと3拍手

以上が大阪締めです。

最後の「祝うて三度」のあとの、パパンパンがやや難易度高めでして、ここで苦戦する方もおられます。

今回は、授業のあとに歓迎会が開かれることもあり、大阪締めについて少し語らせていただきました。

最初は「難しい~…」と言っていた方もおられましたが、何度か練習するうちに、手の打ち方を覚え「こうやればいいのね!」と顔が綻んでいました。

ネタ発表

それではネタ発表とまいりましょう。

今回もたくさんのネタをやってくださいました。

天ぷら十年ナガサワさんは、ピンネタを披露。

椅子に腰掛ける姿は、部長の風格(笑)。

企業に勤められて長い天ぷらさん。BGMで流れる謎の声を用いながら、会社という日常の中へ狂気が入っていく様をコントにされていました。

「冒頭で設定がキャラクターがやや入りづらかった」と口にされていた塾生さんもおられましたので、より具体的な情報を最初に入れれば、わかりやすさが増して笑いも増えそうです。

 

芥子壺さんは、前回やられた貯水槽管理技術者のネタをブラッシュアップして披露!

結論からいうと、前回よりも格段によくなっていました。もちろん前回が悪かったというわけでなく、今回が凄く良くなっていたという意味です。

同じオチ台詞を繰り返すと受けやすくなる天丼の技法は、お笑い塾でしろみずさんがマスターされ、フリップネタでよく使われています。

今回、効果的な天丼を使っていました。もともとオリジナリティあふれる世界観とアイデアが強みの芥子壺さんに、テクニックが加われば鬼に金棒ですね。

 

今回、しろみずさんは漫談にチャレンジ!

「思いついたので、試しに漫談を作ってみました」というしろみずさん。

しろみずさんの日常を3分ほどにまとめ、話してくださいました。

こういうスタンスは大歓迎!

何気なく人前でやったこと発端で、そこから広がっていき別のネタとして花開くということも往々にしてあります。

ネタというのは、必ずといっていいほど「えっ、そこでそんな反応があるの!?」という箇所があります。実はそれが客観的に見た際に、面白く映っている笑いにおける正解であることも!

お笑い塾のネタ見せは、幅広く自由に様々なことを試せる場です。

しろみずさんのように「試しにこんなネタ作ってきました」という姿勢で、どんどん試していただけると幸いです。

 

精力的なアカソフさんは2本のネタを披露。

1本目は、妻に対して語り掛ける夫役を演じるネタ。

以前、OSAKAお笑い寄席でやっていただいたもの、安定して笑いを狙えるネタです。

2本目は、彼女からひたすらビンタを喰らうというコント。

実体験でもあったのでしょうか、とてもリアルな表情をされていますね。

お笑い塾で「ネタの要素はひとつに絞りシンプル化しましょう!」と、よくお伝えしています。

アカソフさんのこちらのネタは、とてもシンプルで見所が明確。

アカソフさんを殴る武器が次々と変化していき「えっ、そんなもので!?」となるところも面白味ですね。

 

シアリスは前回の漫才に、かなりボケを足しました。

台本を担当されている畠山さん曰く「前回は10%ほどの仕上げ」とのことでした。

内容はガラッと様変わりし、前回よりもパワーアップ。

今回は、あえて6分と長尺にすることで、どこを残せばいいのかを確認されていました。

何事もそうですが、足りない部分に肉付けするよりも、削ってスリムにしていく方が質を高めやすいです。

クレバーな畠山さんは、毎度意図を持って漫才を披露し、本番のライブに向けてブラッシュアップを重ねています。

 

たか・たかやまは、7/8(土)のライブに向けた漫才を披露。

色々なネタにチャレンジし続けたこともあり、おふたりの呼吸が出来上がってきました。

ボケが多くすごく伝わりやすい漫才なので、テンポさえズレなければ、どこでやっても笑いがとれそうなネタです。

やはり「笑いは間(ま)が命」だと改めて感じました。

 

新塾生さんを囲む交流会

授業後は、新塾生さんを囲む交流会が開かれました。

こちらは、まかなんのスタッフさんに撮影いただいた一枚。みなさん楽しそうですね。

 

 

そして最後は覚えたてほやほやの「大阪締め」にて終幕。

コロナウイルスの影響で、ここ数年なかなか開けませんでしたですが、和気あいあいとした雰囲気の宴となりました。

「また定期的に交流会を開ければ」と考えております。

最後まで、読んでいただいてありがとうございました。

次回の授業は、6/17(土)となります。

写真・文 高田豪(大阪お笑い塾代表)

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