3月の大阪お笑い塾は、18日、25日と2週続けての開講となりました。
春は「新しいことを始めよう!」と、何かに挑戦しやすいシーズン。
本日も、2名の見学者の方が来られていました。
それでは3月25日の授業リポートにまいります!
日常での気づきをアウトプット
日常で「この出来事を人に話したい!」「この気づきを共有したい!」と思うことがあります。
本日は、塾生さんのそうした「誰かに伝えたい!」という思いを伝えるワークをしていただきました。
- ビールについて熱弁する方
- 会社での電話対応をホワイトボードの図説で説明する方
- ドラマを見ていて感じた違和感を伝える方
など、各々の色が出て面白い発表になりました。
特に印象深かったのが芥子壺さん。
芥子壺さんの「98%の男性がイケメンに見える」という主張に、一同ざわつきます(笑)
もちろんその98%には、お笑い塾に通う男性陣も含まれているのです。
「残りの2%だったら、どうしよう…」という不安を覚えた男性がいたか定かではないものの(笑)、芥子壺さんは丁寧に一名一名、男性塾生の魅力を語ってくださいました。
最初に、数字を含めた結論を伝えることで、論旨が明確になり「なるほど、そういう内容の話か」とすぐ理解できるため、関心を引きやすくなります。
芥子壺さんの選ばれた発表方法は、冒頭で端的に内容を伝える方法としても理にかなっており、しかも内容が面白かったので、印象に残りました。
自分のツッコミ力に気づけるワーク
お笑い塾の講義では、「フリとオチ」「フリとボケ」という言葉がよく出ます。
その他には「ツッコミとボケ」という言葉も頻出。
いずれもお笑いの基礎となる重要なキーワード。
今回は「ツッコミ視点でボケが作れる」という内容でお話しました。
ダウンタウンの漫才で「カモシカのような脚」という言い回しに対して、松本人志さんが異を唱える場面があります。
自らを「きっちりしたい人」と定義し、ディティールにこだわる松本さん。
正確には、「カモシカのような脚」ではなく「カモシカの脚のような脚」ではないか?と声を荒げる松本さんに笑いが起こります。
「カモシカのような脚」を具現化すると、カモシカの体全体が人間の脚に含まれているようになるから、おかしいというのが松本さんの主張。
日本語には「カモシカのような脚」のように、本来であれば入れるべき言葉を省略する表現があり、みんなその不文律の中で違和感を覚えず暮らしています。
しかし、きっちりしたい松本さんは、そこにツッコミを入れることで「言われてみれば、確かにそうだ」と気づきを与え、笑いにまで昇華するという構図。
このようにツッコミ視点は、笑いのネタを作る起点になりうるのです。
松本さんは、2022年3月21日に放送された「笑いの正体」(NHK総合)の中で、
「割とこう日本語…日本語遊び、日本語って面白いなっていうところから俺の根本は来てると思うよ。日本語遊びなんやろな」(中略)「『カモシカの足のような足』やろっていうのが多分俺の原点のような気がする」
と語られています。
そしてそして、ツッコミに関するワーク。
今回は「桃太郎」に、細かくツッコミを入れていただきました。
- 昔々っていつ
- あるところにってどこ?
- 桃に人が入っているのはおかしい
- 勝手に桃の中にいる子供を持ち帰るのはいいの?
- 大きな桃をどうやっておばあさんは家まで運んだ?
- おじいさんと、おばあさんはキビ団子以外にも桃太郎に渡すものがあったはず
などなど、書ききれないほど、みなさんたくさんのツッコミを入れてくださいました。
実は、普段日々の暮らしの中で、誰でもツッコミを入れています。
空を見上げるとお昼間、月が出ていることがありますよね?
みなさんは「真昼の月」を見た際、どのような感想を持たれますか?
「昼なのに月!?」「この時間に月出てる!」みたいなことを内心でつぶやかれる方もいるはず。
実はこれ自体、もうツッコミを入れてることになります。
ここに表現の捻りを入れると「えらい、せっかちなお月さんやな~」みたいなフレーズになるのです。
ツッコミは、多くの人が同じように気づく共感要素の多いツッコミと、松本さんの「カモシカのような脚」のような言われてみてはっとするものに分かれます。
ツッコミはアンテナを立てれば立てるほど、精度が上がりキャッチできる情報が増えます。
みなさんもぜひ、ツッコミアンテナを立てながら色々なものに関心を持ってくださいね。
ただし日常会話でツッコミを入れすぎると「うるさい!」「ツッコミすぎ」と言われる危険性があるため、TPOにはくれぐれもご注意を(笑)。
ネタ発表のお時間
大阪お笑い塾では、授業の後半にネタ発表の時間を設けております。
二ヵ月に一度行っているライブに向けたネタをされる方もおられますし、ここでしかできない実験的なネタをされる方もおられます。
今回は、2023年の1月より仲間になられた高田さんがお笑い塾で初めてネタを発表されました。
自己紹介も兼ねたフリップネタ。
写真左側のエクストラ高橋さんの姿勢と手の位置がに気になるものの(笑)、それはさておき高田さんの初めてのネタにみなさん興味津々!
初めてネタを発表するときというのは、誰でも緊張するものですが、教室は終始温かい空気に包まれておりました。
淡々とした口調で面白いことをつぶやく引き芸スタイル。これまでの経歴やお笑いに挑戦しようと思ったきっかけなどを笑いを誘いながら語る高田さん。ネタが終わると、大きな拍手が!
フリップの使い方がかなりユニークで、既存のめくり芸にはない新たな演出が見られました。
ぜひまたネタにチャレンジいただきたいものですね!
最近、ドメスティックな漫談に開眼した高橋さん。
今回は、母親との会話の中で「母子ともに、相手の話が聞けず自分の話をしてしまう」という日常の切り取りにチャレンジ。
誰でも、自分の話を相手に傾聴してもらいたいものです。しかし家族間など、距離感が近くなるほど遠慮しないため、自身の要求をぶつけ合い対立軸が生じます。
高橋さんの漫談を聞いたある塾生さんが「我が家でも似たような状況がありました」と語られていましたので、共感要素があったのでしょう。
ドメスティックなネタは、オリジナリティを自然に出せるという強みがあります。
芥子壺さんは、前回のお笑い塾で発表してくれたJKネタを再びやってくださいました!
自らが四十路に足を踏み入れたことをネタにしているため、その軸をさらに際立たせるために「当時、流行った曲を歌ってみてはどうか?」という意見も飛び出しました。
ブリッジのある構成のため、見やすさはすでに作れているため、あとは言葉選びやボケを足すことっで、さらに面白くなりそうな可能性を感じました。
天ぷら十年ナガサワさんは、キャラに入り棒立ちになるだけで笑いを誘える稀有なお方。
空気感をコントロールできるのは、大きな強みですね。
明日あるライブでネタを発表されるとのことでして、今回はその序章となる部分をやってくださいました。
天ぷらさんが持つ面白さの一種として、偏見が挙げられます。
偏見は笑いになりやすい要素で、偏見を聞いた人は思わず「偏った物の見方!」とツッコミを入れます。
演者の色を自然と出るのも、偏見の持つ力ですね。
鉄道芸人のしろみずさんは、フリップネタをやってくださいました。
笑いの基本となる繰り返しの天丼。
しろみずさんは、天丼を活用したネタを発表し続けています。
「こう来るのかな?」「来た来た、この展開」と、ネタが進むにつれて見ている方は、待ってました状態になるのが、しろみずワールド。
旅をする度に新ネタが増えるしろみずさん。次はどこに旅行へ行かれるのでしょう?
最後はシアリス。5/13のOSAKAお笑い寄席に向けた漫才をやってくださいました。
オレオレ詐欺を扱った漫才。
前半、中盤とテンポよく進む分、後半をもっと盛り上げたいところ。
シアリスは、柔軟に漫才を作り上げていくタイプで、「そのアイデア面白そう!」と感じたら、ネタへ取り込むことを得意としています。
今回も「こうすると笑いが増えそう」「ボケの塚田さんにこういう動きをしてほしい!」などの意見が出ました。
次回は、がらりと変わった内容になっていそうですね。
次回の大阪お笑い塾の授業は4月8日(土)14時から。
新年度に入り、新しい仲間が加わりそうな大阪お笑い塾。また雰囲気が変わり、さらに面白そうなことができそうです。
大阪お笑い塾では現在、新規塾生を募集中!
見学は無料!
興味を持たれた方は、nejisiki27@gmail.com まで「見学希望」と件名にお書きの上、送信いただけると助かります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
写真・文 高田豪(大阪お笑い塾・塾長)
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