こんにちは。大阪お笑い塾の講師の高田豪です。
今年のお笑い塾は1月6日(土)のOSAKAお笑い寄席からスタートしましたが、早いもので間もなく1月が終わろうとしていますね。
本日は、授業前にネトラジの収録が行われました。
まずはそちらの模様からお伝えいたしましょう。
極楽&塚田コンビがネトラジ出演
年始の1月6日のお笑い寄席で、初めて客前でネタを披露されたツーヘッドドラゴン極楽さん。そして天真爛漫なシアリスのボケの塚田さん。
今回のネトラジはおふたりによるトーク。企画してくれたのはMCの高橋さんです。
極楽さんと塚田さんは、おしゃべりの相性が良いようで、自然と会話が弾みました!
こちらからお聞きいただけます▼
第61回『波長の合うふたり⁉ 極楽さんシアリス塚田さんの新旧塾生トーク』
ホワイト社会とキャンセルカルチャー
今回も多数の参加者で、室内はぎっしり。
外は寒いですが、中はすごい熱気!
約2年前に授業の中で、ホワイト社会について触れました▼
ホワイト社会とは、無菌状態の漂白された社会という意味。
無菌状態と聞くと未来社会を予期したSF作品のようにも思えますが、コロナ禍でホワイト化がますます加速したことで、お笑いの表現の幅がかなり狭くなりました。
昭和に放送されていたバラエティー番組を今、見返すと「よう、こんなめちゃくちゃが許されてたなあ💦」と思うことも…。
昔は映画館や電車の中で、スパスパ煙草が吸われていましたが、価値観の変化というのは思いのほか早く移り変わるもの。
ここのところよく耳にするようになったキャンセルカルチャーという言葉があります。
キャンセルカルチャーとは、特定の人物・団体の反社会的言動を人々が問題視して、追放運動や不買運動などを起こすことを指します。
近年では、五輪開催前に起きたコーネリアス小山田氏の炎上騒動が有名ですね。
激しく糾弾し、社会的地位を失わせる行き過ぎた事例も増えており、しばしば問題視されるキャンセルカルチャー。
かつて、テレビやプライベートで破天荒な振る舞いをしたお笑い芸人も、キャンセルカルチャーの対象になりつつあります。
とがり続けた芸風で生涯をまっとうされた立川談志さんも、もし令和の現代に生きていたら、きっとやりづらさを覚えておられたはず。
漂白された安全な笑いが求められている時代といえど、ブラックな笑いや刺激の強い笑いを求める方が一定数存在します。
そういうとがった笑いは、これからAmazonプライムや配信のない生ライブなどクローズドな環境のみで発表されていく可能性が高いでしょう。
時代が進んで価値観が変われど、笑いの本質自体は変化ないのです。
今年の抱負を漢字一文字で発表
お笑い塾では、年末年始に漢字一文字で目標を発表していただいております。
「今年の目標を漢字一文字で表すと何になる?」
印象に残ったものをご紹介しましょう。
しろみずさんは動。
「今年はたくさん動く年にしたい」ということでした。旅行好きのしろみずさんなので、たくさん旅に出て現地でネタに生かせる体験をされるかもしれないですね。
1/6(土)の新春のお笑い寄席で初めて芸を披露された極楽さん。
「ネタをするのに演技力が必要」と痛感されたそうで、「今年は技を磨く一年にしたい」という思いを端的に語られました。
昨年1月に入塾し、お笑い塾に犬飼旋風を巻き起こした才女・犬飼さん。創という文字を書かれました。
創作が好きなので、創作にどっぷり浸かれる一年にしたいそうです。「創作は苦しくも楽しい」という表現をされていました。
今年も面白いネタを多数、発表してくださることでしょう。
高橋さんは互。「旧塾生と新塾生が相互につながって助け合えるそんなつながりができれば」と熱く語ってくれました。
高橋さんだけでなく3年以上通い続けている塾生さんの中で「新しい人をサポートしたい」「架け橋になりたい」という声もありました。
本年は、新旧塾生が化学反応を起こしながら変化していく一年になるでしょう。
ログラインを意識した3分間コント
お笑い塾ではフリとオチのほかにログラインの重要性を度々お伝えしております。
ログラインとは、脚本家の方が使われる用語で、物語を短い言葉で要約したもの。
桃太郎のログラインは「桃太郎の鬼退治」となります。
これくらい簡略化できていれば、見せるべきものがおのずと明確になるのでネタがスッキリします。
今回はログラインを意識した上で、ふたり一組に別れていただき3分間のコントにチャレンジいただきました。
こちらは打ち合わせ風景。いつもながら和気藹々としながらも、真剣さが漂います。
みなさんお笑いに関して本当に真面目。「今よりも笑いをとれるようになりたい」という高い意欲が伝わってきます。
さてお笑い塾の3分間コントは、テーマや「この台詞を入れてコントを作ってください」と緩めの枷を作り、30分ほどでネタの流れを決め、台詞を覚えるところまでやっていただきます。
最初は大変に感じるものですが、いざやってみると案外できるもの。
心理的安全性が保たれている環境で、集中して笑いのワークをすることでメキメキ成長できるのです。
それではネタを紹介させていただきましょう。
犬飼さんと福崎さんのコンビは、犬飼さん演じる上司が部下の悩み相談に乗るというもの。
突如「ギャルになりたい!」とカミングアウトした福崎さん。
真面目な顔から一転して、この表情!
まさかの豹変に大きな笑いが起こりました!
極楽さん塚田さんコンビは、上司の塚田さんに経験の浅い若手社員が注意を受けるという内容。
ネトラジでも共演されていましたが、おふたりは演者としての相性が良いので、関係性も含めてしっくり来ていました。
必死に注意するものの、なかなか聞き入れてもらえない塚田さんがユーモラスです。
しろみずさん、ケンさんのコンビは「血液型は?」と問うケンさんに、しろみずさんがひたすら電車の型番を言い続けるというネタ。
しろみずさんのキャラクターを存分に生かしたネタですね。フリとオチの構造をシンプルにして、ボケをたくさん入れた点もポイントが高いです。
芥子壺さん、畠山さんのコンビは、子供料金である場所へ入ろうとした芥子壺さんに対して畠山さんが「ちょっと待って! あなたは大人なの? 子供なの⁉」と詰問するネタ。
芥子壺さんの答えが全て、アラフォーならではの知識なので、コンスタントな笑いが起こっていました。
笑いは隠したものをいかにバラしていくかが大事。すなわち「ネタバラシ」をどのように演出するかが重要です。
枠組みを作るのが上手い畠山さんだけあり、構造的なネタの仕上がりになっていました。
此花六丁目さんと高橋さんのネタは、年齢差を巧みに活かした上下関係で起こるに人間のしがらみを描いたもの。リアリティがあって、すごく良かったです。
同じくらいの身長、おそろいの黒ぶちメガネといい、ビジュアル面でも見やすさがありました。大阪お笑い塾のおぎやはぎといった感じでしょうか⁉
お笑いのキャリアでは先輩の高橋さんが、しっかりとリードされていました。
ネタ発表の時間
第22回OSAKAお笑い寄席が3/2(土)に、ライブ喫茶亀で開催されます。
みなさん、そこへ向けたネタを発表!
芥子壺さんはJK(女子高齢)のネタをリニューアルされていました。
1/28に開催される翌日のライブで発表予定のネタとのことでした。
どの年代をターゲットにするかで、チョイスする情報が変わりそう。そこを逆手にとれば、カスタマイズすることで老若男女に受ける汎用性の高いネタにも仕上がるでしょう。
頬を押さえているのは先日、親知らずを抜歯した高橋さん。
かなり出血したようで、そのときの様子を臨場感たっぷりに語ってくださいました。桂枝雀さんも言っておられましたが、笑いの根っこには人間の情緒的な困りが含まれます。
親知らずが痛むのも困りますし、抜歯した後、顔が腫れるもの困りもの。そういったリアル体験を、メリハリある3分間の漫談にまとめてくれました。
お笑いの長所は、マイナスをプラスに転換できる点です。
こうして発表して笑いにつなげることで、手痛い体験もネタとして昇華できるのです。
犬飼さんは、スラムダンクにまつわる漫談を披露。
スラムダンクを知っている人でも知らない人でも楽しめる内容になっていたのは、さすがです。
犬飼さんの強みは、具体と抽象のさじ加減が絶妙な点です。
それだけではありません。
訥々とした語り口や間も彼女ならではの味があり、今年も犬飼さんから目が離せません。
しろみずさんは前回発表されたネタを少し短くして発表。
鉄道ネタがふんだんに入っていますので、もう少し緩和の部分を入れるとバランスが良くなりそうです。とぼけが持ち味のしろみずさんなら、きっとできるはずです。あと2回のネタ見せで、ブラッシュアップすれば3/2(土)のライブできっちり仕上がっていることでしょう。
シアリスは、ネタをかなりスリムにして3分30秒に収めることに成功。
お客さん視点に立った場合、4分を超えるネタというのは結構負担がかかるケースも。
もちろん中身によりますが、極力無駄を省き端的にまとめる意識づけは大切です。
前回よりも冗長な部分がなくなり、かなり見やすくなっておりました!
次回の大阪お笑い塾は2/10(土)に開催されます。
まだまだ寒い日が続きますが、みなさんお体にはお気をつけくださいね。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
大阪お笑い塾代表・高田豪
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