2023年5月6日の授業レポート「志村けんの笑い」「寓話パロディ・ライティング」「ネタ発表」

授業レポート&ライブレポート

GWも終盤に入りましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

5月6日(土)まかなんで、大阪お笑い塾の授業が行われました。

志村けんの色あせない笑い

今回は、志村けんさんについて掘り下げました。

残念ながらコロナ禍でお亡くなりになった志村さん。彼の功績は大きく、やはり日本お笑い史を語る上で重要人物といえるでしょう。

志村さんの師匠は、いかりや長介さん。おふたりの年齢差は約20歳。

親子ほど年齢の離れたおふたりが同じザ・ドリフターズにおられたというのが興味深いですね。

ドリフは生放送が多かったこともあり、毎週徹底した打ち合わせで、コントの設計図を詳細に作っていました

ドリフで笑いの基礎を学ばれた志村さんも、計算しつくされたコントを作るようになります。

バラエティ番組のコントは、志村さんのようにアドリブは少なめで「この場面ではこれをする」としっかり決めるものもあれば、ノリやアドリブなどのその場で生まれるグルーヴ感を大事にしているものもあります。

軽佻浮薄な時代に突入した1980年代に、若者の心をがっちり掴んだ番組があります。『オレたちひょうきん族』です。

たけしさん、さんまさん、紳助さんらによる即興コントはスリリングな面白さがあり、『8時だョ!全員集合』を見ていた視聴者の何割かは、『オレたちひょうきん族』の方へ移行するようになりました。

TBSの『8時だョ!全員集合』とフジテレビの『オレたちひょうきん族』の熾烈な戦いは、土曜日8時の放送枠だったこともあり、土8戦争と呼ばれたりもしました。

ちなみに1970年代には、『8時だョ!全員集合』と『欽ちゃんのドンとやってみよう!』が激烈な争いを繰り広げており、デッドヒートの末、ドリフチームが勝利。こちらもまた土8戦争といわれておりました。

日本お笑い史を語り出すと止まらなくなるので、このあたりにしておきますが、志村さんの作られたコントは今見ても色あせません。

今回は、みなさんに志村さんの『レンタルビデオ』というコントを見てもらいました。

柄本明さん演じる男性が、ちょっとHなタイトルの作品を借ります。

しかし、そこのレジを担当しているのは志村さん演じる、おばあさん。

耳が遠くて「作品のタイトルをノートに書く決まりだから、大きな声で作品名を言っとくれ」と頼みます。

レジの近くに若い女性客も寄ってきて、柄本さんがどんどん追い込まれていく様は爆笑を誘います。

何度も何度も、恥ずかしいタイトルを叫ばされる辱めを受けることに(笑)。

みなさん、大きな笑い声を上げて見ておられました。

困る様子を演じるというのは、笑いの基本ですね。

志村さんと柄本さんは、よくコントで共演される名コンビでした。

さて志村さんに、大きな影響を与えた落語家さんがいます。彼の名は桂枝雀。


緊張状態が緩和に転じた際に笑いが発生するという「キンカンの法則」を発見した枝雀さん。

枝雀さんは「桂枝雀」を襲名される前の桂小米(こよね)時代は、陰気で声が小さくマニアックな演芸マニアに刺さる落語家だったそうです。

桂枝雀を襲名して芸風が一変。明るく大きな声で、遠くから見てもわかるようなオーバーなジェスチャーを取り入れ、一躍人気者になりました。

その影響はすさまじく、上方落語はもちろん「東京の落語家でも枝雀フォロワーが出た」と言われています。

松本人志さんや、千原ジュニアさんも枝雀ファンであると公言されていますね。

枝雀さんの『ちしゃ医者』という古典落語の中で、咳払いをするシーンがあります。この咳払いが志村さんには「だっふんだ」と聞こえたことから、ご自身のコントで入れたら大受けしたというのは志村さんファンの間では、有名ですね。

枝雀さんも、志村さんも老若男女が理解しやすい笑いの提供者。そして、そのほとんどが計算しつくされた緻密なもの。

本番が終われば非常に人見知りで、内向的な性格だったところなども含めて類似点が多いですね。

現代の笑いも、さかのぼっていけば必ずルーツがあります。

どこから笑いが生まれて、派生していったかを知ることで、しっかり裏付けのある笑いが表現できるようになるかもしれません。

 

桃太郎のパロディをライティングしてみよう!

今回、初めての企画に挑戦していただきました。

それは桃太郎のスジをそのまま残したまま、変えられる部分はアレンジしてパロディ化してみようというもの。

みなさん「できるかな~」「難しいな~」と言いながらも、果敢に挑戦してくださいました。

各々パート分けして、担当を決めて、前の方が書いた台本の設定にのっとって書いていただく形式です。

さてどんな内容になったのか、要約してお伝えいたしましょう。

昔々のことです。おばあさんが川で洗濯をしていると、川上からiPhoneが流れてきました。

iPhoneはおばあさんに持ち帰られ、Siriと名付けられました。

すくすく健やかに育ったSiriは、鬼退治へ行くことに。

道中で、アップル、ピクサー、ディズニーの3大株主を仲間にして、鬼ヶ島へ到着。

USBケーブルの紐の部分のコンセントプラグを鈍器にして、鬼を攻撃。見事に成敗し金銀財宝を持ち帰りました。

どうでしょう?

元の桃太郎から、かなり飛躍させられたのではないでしょうか。

笑いの基礎的な技術として「正解や常識から、いかにズラすか?」というのがあります。

誰もが知っている桃太郎という寓話は、少しズラすだけで笑いになりやすくパロディの題材に最適。


こういったチームプレーは前の人が作った設定を壊さずに運ぶことが大事。またいかに展開させていくかは構成力が問われます。

最後の締めを担当されたのは芥子壺さんでしたが、見事に物語を締めくくってくれました

このパロディ・ライティングは、参加メンバーによってがらりと内容が変わりそうですので、ぜひまたやってみたいと思います。

 

ネタ発表

それでは、この日に発表されたネタのレポートをさせていただきましょう。

天ぷら十年ナガサワさんは、社会人の言葉の裏側という、天ぷらさんらしい切り口のピンネタを披露。

社会は、本音と建て前で成り立っていますが、「その言葉にはどんな裏があるのか?」という毒の入った鋭角なネタでした。

大阪お笑い塾は、企業に勤める方が通う場所。よって社会経験を多く積まれている人は「その表現、わかる~」といった共感の声が多く聞かれました。

 

新塾生の、ミナさんはご自身が眼鏡をかけている理由をとつとつと語ります。

こちらが生涯2本目のネタ。

話している内容と、しゃべるトーンのギャップが絶妙な味わいとなり、たくさんの笑いが起こっていました。

エクストラ高橋さんが「2本目でこのクオリティを作れるのは、ほんまにすごい!」と絶賛。

新たな刺激を、みなさんに与えてくれているミナさんでした(ダジャレみたいですね、笑)

 

芥子壺さんは、「JK=女子高齢」ネタの最終調整。

テンポがよく、間のコントロールが前回よりも格段に良くなっていました。

ラストの歌のシーンがあるので、歌い終わりに何をして締めるかによって、さらにネタの質が上がりそうですね。

 

最後はたかたかやまのコント。

最初は5分ほどあったコントを1分以上短縮し、冗長な箇所を省けたため、見やすくなりました。

来店客という高橋さんの役柄もよりリアルになり、感情の出し方も前より自然になっています。

「天ぷらさんの何気ない一言が面白い!」という意見も出て、5/13(土)の本番に向けて、丁寧に作り上げていっている印象を受けました。

5/13(土)の14時から、ライブ喫茶亀で「第17回OSAKAお笑い寄席」がございます。

入場料金は、500円とリーズナブル。

大阪お笑い塾、3PEACEの熱演を観覧していただけるライブですので、ぜひぜひお越しいただけると嬉しいです。

さて大阪お笑い塾では現在、新規塾生を募集中です!

見学は無料!

興味を持たれた方は、nejisiki27@gmail.com まで「見学希望」と件名にお書きの上、送信いただけると助かります。

(※迷惑メールの設定で、メールの届かない方がおられますので、見学を申し込まれる方は念のため、お電話番号をお書きいただけると幸いです)

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

写真・文 高田豪(大阪お笑い塾代表)

コメント

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