2025年5月31日の授業レポート「オノマトペ」「擬人化コント」「ネタ見せ」

授業レポート&ライブレポート

こんにちは。大阪お笑い塾の代表の高田豪です。

そろそろ夏の気配が近づいてきており、M-1初戦の足音が聞こえ始めるシーズンですね。

今年もお笑い塾からM-1に挑戦される方がおられるはずなので、楽しみです!

ビギナーコースから挑戦される方が出てこられる可能性もありますね。

さて今日の午前10時半からビギナーコースの授業が行われました。

「マニアック例えツッコミ」というテーマの講義です。

こちらからレポートをご覧いただけます▼

そして本日お笑い塾のネトラジが更新されました。

ビギナーコースの小野さんがゲストとして出演してくださいました。

とても聞きやすいトークです。こちらからお聴きいただけます▼

第78回『ビギナーコースの小野さんが初ゲスト』

オノマトペの有効活用

本日は、オノマトペについて講義をいたしました。

ネタを作っていて、「なんか表現が弱いな」と感じることはありませんか?
そんなときに使えるひとつのテクニックが、オノマトペです。

日本語は、世界でもまれに見るほどオノマトペが豊富な言語です。
実際、赤ちゃんが最初に覚える言葉も、多くがオノマトペだとか。ちなみにオノマトペの数が世界一の国は韓国だそうです。


ひとくちにオノマトペといっても、かなりバリエーションがあります。

効果的にオノマトペを使い分けられれば、より深く伝えるというのができます。

「ドロドロ」「ベタベタ」といった濁音を含むオノマトペは、“濁り”や“重さ”といったニュアンスを含んでおり、聴く人にねとっとした粘着質な印象を残します。

カ行やタ行のような硬めの音は、「カッ」「ゴン」「タタタッ」など、何かが刺さる、跳ねる、ぶつかるといった鋭さや躍動感を感じさせる働きをします。

マ行の「もふもふ」「むにゅっ」といった音は、柔らかさや安心感を与えやすいですし、空気の抜けるようなハ行の「ふわふわ」といった語感には、緩和や脱力のイメージがあります。

こうした音感の特性を意識的に使い分けると、漫才やコントでのセリフの温度やリズムが格段に伝わりやすくなります。

つまり、オノマトペは「音のニュアンスで伝える感情表現」なのです。
的確に選ぶことで、ネタの表現をグッと強めることができます。


本日は、オノマトペを使ったトークを即興で行うというワークに挑戦していただきました。

こちらは車の運転というテーマで、複数のオノマトペを入れる技巧を発揮した極楽さんです▼

普段それほど意識していないオノマトペ表現ですが、実は日常で結構、多用している方も少なくないでしょう。

とりわけ関西人はオノマトペで説明することを好む人種という説もありますね。

ウルフルズの大阪ストラットという曲の一節でもありましたが「この道ブワーッと行ってグワーッと曲がって」みたいな説明をする人が多いのかも…?笑

仕込みオチを活かした擬人化コント

お笑い塾の午後の部では、その場でテーマをお出ししてコントを作っていただくというワークを毎月企画しています。

今回は「飛躍を生む仕掛け」の入ったコントの作り方についてお話しいたしました。

コントやネタにおいて、「オチが弱い」と悩んでいる方におすすめしたいのが、“仕込みオチ”の活用です。

仕込みオチとは、落語用語なのですが、

物語の前半で伏線(=因)を張っておき、最後にその伏線が意味を持ってオチ(=果)になるという構造のことをいいます。

たとえば、有名な昔話「鶴の恩返し」では、「男が鶴を助ける」という“因”が物語の冒頭で描かれます。
その後、「鶴が女性の姿になって訪ねてくる」という“果”であり、そこから物語が大きく展開しますよね。

この“因果構造”は、コントに取り入れるとかなり効果的です。

たとえば「過去に何かを捨てた人」のもとに、「その捨てたもの」が擬人化して訪ねてくる……そんな構成にすると、出だしから「えっ何かが来たんだけど、このあとどうなるの!?」という気になる状況を作ることができます。

しかも、この“捨てたもの”が人間以外──たとえばぬいぐるみ、家電、スマホなど──だった場合、そのビジュアルだけでインパクトが出ます。

物語の入りとしては、「既に何かを捨て終わった後の平穏な生活」から始めると、異物が登場したときの対比が強調され、テンポもよく、笑いにつながりやすいです。

こちらのコントを30分ほどで考えて、そのあと発表。

短い時間に整えて、発表できる形にするというのを繰り返すと、確実にお笑いのネタを作る力やアウトプット力がアップします。


打ち合わせの様子▼

二人一組に分かれて真剣ながらも「そのボケ面白いですね!」など笑いが漏れる一幕も。熱量が高い人たちが集っておりますので、自然と「より面白いコントを作りたい!」というモードになります。


笑いと恐怖の構造はよく似ているのですが、最初に日常を描くことで「そこからグラデーションとして日常が崩れていく様」を表現できるので、メリハリがつきます。

ちなみに日本には「付喪神(つくもがみ)」という古くからの信仰があり、長く使われた道具には魂が宿るとされてきました。

こうした文化的背景があるからこそ、「モノが人になる」という突飛な設定も「まあ、ありかも?」と受け入れてもらえるのかもしれません。

今回は即興で「捨てたものが人の姿形をした状態で、いきなり自宅を訪ねてくる」というコントに挑戦していただいたのですが、とんでもないコントが発表されましたので、そちらをご紹介いたしましょう。


下記は、畠山さんと高橋さんのコントです▼

捨てられた卵の殻(写真左の畠山さん)が、「なんで私のことを捨てたのよ!」と人になってやってくる、ホラー調のコント。

「卵の殻が不満を訴える」という着眼点がとてもいいですね!

そして畠山さんの迫真の演技に、一同圧倒されたあと、「卵の殻なの!?」という大きな笑いが。

素晴らしいコントをやってくださいました!!


こちらはファイナルファンタジーの人気の鳥チョコボが「どうして僕を捨てたのさ?」とかわいく抗議にくるというコント。

チョコボ役のなすぴーと、つっけんどんな対応をするケンさん。

なすぴーは、ファイナルファンタジーをこよなく愛しており、それゆえ「チョコボを出したい!」と思いついたそうです。


しろみずさんと此花六丁目さんは、温泉が人になってやってくるというぶっ飛びまくったコント。

日本全国津々浦々を旅してきた鉄道芸人のしろみずさんは、大分県の別府にある「血の池地獄」というユニークな温泉をご存じで、それを今回のコントに入れたのだとか。

「温泉が人になって訪ねてくる」なんて設定は、しろみずさんしか思いつかないかも?

改めて怪物ぶりを発揮した、しろみずさんでした!

ネタ見せ

授業の最後は、ネタ見せの時間です。

天ぷらさんはR-1に向けたネタ作りに着手されています。

前回、発表されたものを整え再度、発表。

前半が少し緊張感が強いので、何か緩和できるものがあればさらに見やすくなると思います。

ボケの飛躍度が高いので、そこは見ている人の心を大きく裏切れそうですね。


なすぴーは、新しいフリップネタを披露してくださいました。

学校の先生としてのキャリアがあるなすぴーは、「教員あるある」という先生をやっていないとわからないことをネタに上手く盛り込みました。

やはりネタは「なぜこの人がこのネタをするのか?」という必然性が必要。

そこをしっかりクリアできているだけでなく、笑いプラスアルファの「なるほど~!」というトリビアもあり、大変、深みのあるネタに仕上がっていました。

また新たな、なすぴーの魅力が呈示された形になりました。

ポテンシャルモンスター、なすぴー恐るべしです。


此花六丁目さんは、久々にピンネタを発表。

これまで飛躍の大きなボケをのっけから連発する印象があった此花さん。

しかし今日のネタは「住所は?」と聞かれて「十三(じゅうそう)の説明をする」など、わかりやすいベタなボケもしっかり入っており、着実に成長されているのを実感しました。

とがったボケを考える力をもともとお持ちですので、ベタな小ボケやくすぐりなどを入れられるようになると、鬼に金棒かもしれませんね。


極楽さんと芥子粒さんは、7月のライブに向けたネタを初めてお披露目。

ネタができたばかりということで、台本の原稿を見ながらの読み合わせでしたが、お笑いの基礎的なロジックである繰り返し構造をしっかりと入れられていました。

また引き芸のイメージがあった極楽さんが、かなり押しの強いキャラを演じ、それがぴたっとはまっていたので「おお~、極楽さん、こんな一面があったのか!」と嬉しい発見でした。

ここから、どのようなネタにしあがっていくか大変楽しみです!


シアリスは、今のトレンドワードである万博をテーマにした漫才コント。

塚田さんの自宅で行われる「つかっちゃん万博」に招かれた畠山さんが、翻弄されるという内容のネタで、ボケがかなり多めの楽しいネタです。

4分30秒ありましたので、冗長な部分を削り3分半~4分に収めると、さらに見やすくなるでしょう。


たかたかやまは、新ネタを発表。

途中からテンポアップし、リズミカルなやりとりが笑いを誘います。

5分あるので、ここから1分以上を削ると、見やすくなりますね。

冒頭の1分がおとなしめですので、そこを思い切ってカットするか、あるいはボケを追加することでバランスのよいネタにしあげられるでしょう。


さて次回の大阪お笑い塾の講義は、6/14(土)です。

引き続きお笑い塾をよろしくお願いいたします。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

高田豪(大阪お笑い塾・代表)

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